炭素循環農法を学ぶ①

最近は、農作業の時間に畑が凍っていること、あまりの寒さからか作物が育っていかないことから、今後に向けてミーティングを重ねており、なかなかいつもの「農業日和」のブログが更新できていません。
昨年、「ピーマン畑に病気が出た」ということをきっかけに、サポートハウスとびらは、農業経験のある方からお話をうかがい、皆で対話しながら考えることを続けてきました。
そこで、「炭素循環農法」という一つの農法を知りました。
今回は、農作業の時間を利用して、炭素循環農法を学ぶ機会をいただきました。

土壌には、多種多様な微生物が存在している。微生物は、自ら相手の微生物の生育を阻害する物質を生産し、スペースを取り合ったり餌を奪い合ったりしながら拮抗するものもいる一方で、微生物同士がお互いに共存したり、農作物などの植物と共存関係になるものものもいる。

土壌微生物は、増減を繰り返すことで種類と個体数のバランスを保って行く(土壌微生物の多様性という)。植物は根から水や酸素、養分などを吸収して成長する。根は吸収するだけでなく生成物の排出もする。土壌微生物はこの根から出た生成物を好む。微生物はこの生成物を取り込む代わりに根が自分の力だけでは吸収できない栄養分を提供してくれる。さらに微生物は取り込んだ生成物を分解し、そこで生じた生成物がまた植物に必要な栄養分として根から吸収される。植物と微生物が良好な関係を築いていることで互いの生育に必要な栄養分が循環する。

多様性が失われ、バランスが崩れた土壌は、植物の病害や生育不良を招く。人間の腸内で細菌の多様性のバランスが保たれることで健康が維持されるように、土壌も多様性を保つことが良好な生育環境を作ることにつながる。

連作障害の多くは、同じ作物を作り続けた結果、土壌微生物の多様性が崩れ、増殖した病原菌によって引き起こされているとされている。

土壌改良するためには、まず、土壌微生物のバランスをよくしていくことが大切。野菜を作るのは、微生物。とすると、よい土壌を作ることで、微生物がよい野菜を作ってくれる、ということになる。

【農業に役立つ微生物】

●糸状菌(麹カビなど):堆肥を作るときなどに役立つ。デンプンを糖に変える、様々な酵素を分泌し有機物を分解する、といった働きをする。

→糸状菌によって生じた糖は他の微生物の餌となり、他の微生物は増殖することができる。糸状菌の分泌する酵素は多種多様であるため、様々な物質を分解することができ、他の微生物の増殖を手助けする働きもしている。

●放線菌:堆肥に多く含まれている微生物。害虫予防に役立つ。放線菌はキチナーゼと呼ばれる酵素を生成する。これは、甲殻類の殻や節足動物の外骨格を生成する「キチン質」を分解する酵素であり、センチュウなどの害虫対策には助かる微生物である。

糸状菌を増やすために炭素率の高いもの(ライ麦等)を植える。そうすることで放線菌が増えてきて、バクテリアが増えてくる。この循環が起こることでより良い土壌が保たれていく。

ホームセンターなどで売っている肥料は有機窒素であり、植物は無機態窒素にならないと吸収することができない。植物が吸収しやすくするために無機態窒素を作ってくれる働きをするのが微生物。

自然界も循環していることは農作業を通じて感じ取っていましたが、今回炭素循環農法をやってみようと学ぶ機会をいただいたことで、土の中だけでなく、土から作物へ、作物から人間へ、という循環が起こっていることも改めて感じることができてきています。
これからやろうとしていることがどのような意味をもっているのか、なぜやるのか、理解して実践することは本当に大事なんだと痛感しました。
サポートハウスとびらは、人・社会・文化が有機的につながる地域共生社会を創ることを目指した活動をしています。人と食も有機的につながる循環型であることを炭素循環農法を学んで実感し、驚くと同時に私たちが実践しようとしていることがつながっていくことを嬉しく、これからを楽しみに思います。
まだまだ学びはじめたばかりですので、ここからさらに学んで、ブログにも書いていきたいと思います。
写真は、炭素循環農法を学んだあと、皆でせっせと大豆の仕分け作業をしているところの写真です。

コメント

このブログの人気の投稿

スタッフを募集しています

ご家族のつどい 開催のお知らせ

処方薬ミーティング 開催のお知らせ