権利擁護を考える②

サポートハウスとびらが属している公益財団法人住吉偕成会には、精神科病院として住吉病院があります。昨日から、住吉病院に入院中の患者さんに、サポートハウスとびらは皆様からいただいたマスクを配り始めています。
精神科に入院している方の中には、不本意ながらも病院に住所がある方がいます。住所が病院にない方でも、ご家族等による面会がなく、マスクを持ってきてもらうことが出来ない方もいます。自宅にマスクが届いているかもしれないけれど、自宅にマスクを持ちに行くことが出来ない方もいます。
本当は、1世帯1セット配られるので、皆同じように手にすることができてよいはずなのですが、病院に住所がある方のところには届いていないのが現状です。
そこで、サポートハウスとびらは、手にしてよいはずの権利がなくなっている方がいるという点に着目し、今回の寄付に関する活動は、権利擁護に関する活動として実施してきました。もちろん、「私はいりません」、という方がいても良いし、「いらない」と思う方がそう意思表示することが権利擁護には大事だと考えています。

今日もある病棟に出向き、お部屋を回らせていただきました。
感謝の気持ちをメッセージとしてその場で書いて下さる方、あとで書きますとおっしゃって下さる方、「ありがとう」、「大事に使います」と受け取って下さる方、「私はいりません」と伝えて下さる方…みなさんいろんな反応をしてくださいました。

権利擁護と日本語では訳されていることが多いですが、英語では、「advocacy」となります。言葉の意味することを考えるとき、私はいつも語源を考えるのですが、動詞形advocateの語源は、ad-「~に」+voco「声、言葉」という形に分解できます。この語源を考えてみても、「~に向かって/~のほうへ、声を上げること/声に出すこと」と理解できると思います。このことから、権利擁護とは、弱い人のためになにかをしてあげたりできない人の権利を守ってあげることではなく、何かの目的のために声を出すことだと考えています。
今回も、もちろん、マスクがなくてかわいそうなのでマスクを届けましょうということではなくて、権利擁護の話であると考え、とびらは活動をしているのです。

今回、私たちサポートハウスとびらが声を発したことをきっかけとして、多くの方々がこの想いに賛同してくださり、マスクを寄付してくださいました。サポートハウスとびら一同、心から感謝申し上げます。そして、権利擁護には、それぞれの人が目的のために声を上げていくことが大事であるということを実感する機会をいただくことができました。本当にありがとうございます。

サポートハウスとびらでは、明日以降もまだマスクをお配りしていない病棟を訪問していく予定です。

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